いい心持ちである。 山城屋の地面は菜園より六尺がた低い。 部屋は熱つかったが、飯は下宿のよりも大分旨かった。 清は時々台所で人の居ない時にあなたは真っ直でよいご気性だと賞める事が時々あった。 漢学の先生はさすがに堅いものだ。 もっともうらなりとは何の事か今もって知らない。 　何だか二階の楷子段の下の暗い部屋へ案内した。 十日に一遍ぐらいの割で喧嘩をしていた。 こんな、狭くて暗い部屋へ押し込めるのも茶代をやらないせいだろう。 　挨拶が一通り済んだら、校長が今日はもう引き取ってもいい、もっとも授業上の事は数学の主任と打ち合せをしておいて、明後日から課業を始めてくれと云った。 実は大変嬉しかった。 文学士と云えば大学の卒業生だからえらい人なんだろう。 かみさんが頭を板の間へすりつけた。 宿直はちょっと用達に出たと小使が教えた。