田舎者の癖に人を見括ったな。 笹は毒だからよしたらよかろうと云うと、いえこの笹がお薬でございますと云って旨そうに食っている。 おれは嘘をつくのが嫌いだから、仕方がない、だまされて来たのだとあきらめて、思い切りよく、ここで断わって帰っちまおうと思った。 広いようでも狭いものだ。 清がこんな事を云う度におれはお世辞は嫌いだと答えるのが常であった。 時々は小供心になぜあんなに可愛がるのかと不審に思った。 大概は椅子を離れて腰をかがめるばかりであったが、念の入ったのは差し出した辞令を受け取って一応拝見をしてそれを恭しく返却した。 今日学校へ行ってみんなにあだなをつけてやった。 しかし呼び付けるよりは感心だ。 　そう、こうする内に喇叭が鳴った。 やがて湯に入れと云うから、ざぶりと飛び込んで、すぐ上がった。 牛乳配達をしても食ってられると覚悟をした。 ところが清にも別段の考えもなかったようだ。 　それから清はおれがうちでも持って独立したら、一所になる気でいた。