部屋は熱つかったが、飯は下宿のよりも大分旨かった。 この兄はやに色が白くって、芝居の真似をして女形になるのが好きだった。 幸ナイフが小さいのと、親指の骨が堅かったので、今だに親指は手に付いている。 いくらか薄い地には相違なくっても暑いには極ってる。 かみさんが頭を板の間へすりつけた。 とうとう明日から引き移る事にした。 弱虫の癖に四つ目垣を乗りこえて、栗を盗みにくる。 おれの生涯のうちでは比較的呑気な時節であった。 靴足袋ももらった。 今にいろいろな事を書いてやる。 これも親譲りの無鉄砲が祟ったのである。 　道中をしたら茶代をやるものだと聞いていた。 教場の方が急にがやがやする。 元来女のような性分で、ずるいから、仲がよくなかった。