帰りがけに覗いてみると涼しそうな部屋がたくさん空いている。 そんなむずかしい役なら雇う前にこれこれだと話すがいい。 帰って飯でも食おうと門口をはいった。 　それから学校の門を出て、すぐ宿へ帰ろうと思ったが、帰ったって仕方がないから、少し町を散歩してやろうと思って、無暗に足の向く方をあるき散らした。 それから車を傭って、中学校へ来たら、もう放課後で誰も居ない。 　停車場はすぐ知れた。 おやじがおれを勘当すると言い出した。 笹は毒だからよしたらよかろうと云うと、いえこの笹がお薬でございますと云って旨そうに食っている。 自分の主人なら甥のためにも主人に相違ないと合点したものらしい。 みんなやったってこれからは月給を貰うんだから構わない。 その時は家なんか欲しくも何ともなかった。 こんな、狭くて暗い部屋へ押し込めるのも茶代をやらないせいだろう。 　挨拶をしたうちに教頭のなにがしと云うのが居た。 大概顔の蒼い人は瘠せてるもんだがこの男は蒼くふくれている。