自分でも可笑しいと思ったが苦情を云う訳もないから大人しく卒業しておいた。 この後いつはいれるか分らないから、洋服を脱いで浴衣一枚になって座敷の真中へ大の字に寝てみた。 つまらん所だ。 来年の夏は帰る。 清に聞いてみた事はあるが、清は笑って答えなかった。 世話をしてくれるにしたところで、喧嘩をするから、向うでも何とか云い出すに極っている。 ちょっとかいでみて臭いやと云ったら、それじゃお出しなさい、取り換えて来て上げますからと、どこでどう胡魔化したか札の代りに銀貨を三円持って来た。 ある日の夕方折戸の蔭に隠れて、とうとう勘太郎を捕まえてやった。 それから車を傭って、中学校へ来たら、もう放課後で誰も居ない。 校長は薄髯のある、色の黒い、目の大きな狸のような男である。 あんな奴を教えるのかと思ったら何だか気味が悪るくなった。 つまらん所だ。 門口へ立ったなり中学校を教えろと云ったら、中学校はこれから汽車で二里ばかり行かなくっちゃいけないと聞いて、なお上がるのがいやになった。 兄は何とか会社の九州の支店に口があって行かなければならん。