君のように云うとつまり図太いのが悟ったのだね 無絃の素琴を弾じさ 　長い煙をふうと世の中へ遠慮なく吹き出した寒月君は、やがて前同様の速度をもって談話をつづける。 博士ならもうならなくってもいいんです 先生方は大分厭世的な御説のようだが、私は妙ですね。 一剣天に倚って寒し――ええ、面倒だ。 さすが詩人だけあって自由自在なものだね でも、皆なはだしで兵式体操をして、廻れ右をやるんで足の皮が大変厚くなってると云う話だぜ ええ、真黒です。 何とも云えませんね。 ああ話したまえ 僕などはとうてい絶対の境に這入れそうもない つまらない。 なに大丈夫です、探偵の千人や二千人、風上に隊伍を整えて襲撃したって怖くはありません。