いつになく富士見町の方へは足が向かないで土手三番町の方へ我れ知らず出てしまった。 首を入れた当人は台を引かれると同時に縄をゆるめて飛び下りるという趣向である。 風邪を引くといってもあまり出あるきもしないようだったに……いえね、あなた、それが近頃は悪い友達が出来ましてね 　両天秤をかけたなと主人は、あとが読みたくなる。 彼は巨人引力である。 御三ばかりじゃない現に上品な仕付を受けつつあると細君から吹聴せられている小児ですらこの傾向がある。 しばらくすると落ちて来る。 前と後ろの間違だけであの声の出る所へ行く事が出来なかったのです寒月はにやにや笑いながら例のごとく羽織の紐を荷厄介にしている。 人間というものは時間を潰すために強いて口を運動させて、おかしくもない事を笑ったり、面白くもない事を嬉しがったりするほかに能もない者だと思った。 これで雑煮の元気もさっぱりと回復した。 なるほど仲居は茶屋に隷属するもので、遣手は娼家に起臥する者ですね。 器量、不器量、好き嫌い、粋無粋の数を悉くして千差万別と云っても差支えないくらいである。 御三は御馳走を半分食べかけて夢から起された時のように、気のない顔をして餅をつかんでぐいと引く。 　吾輩が主人の膝の上で眼をねむりながらかく考えていると、やがて下女が第二の絵端書を持って来た。