またあの黒の畜生が取ったんだよ。 藪睨みから惚れられたと自認している人間もある世の中だからこのくらいの誤謬は決して驚くに足らんと撫でらるるがままにすましていた。 どこでどこでもそりゃ御聞きにならんでもよいでしょう。 球が空にあがる。 私が三毛をだいて診察場へ行くと、風邪でも引いたのかって私の脈をとろうとするんでしょう。 二絃琴の御師匠さんよそれは吾輩も知っていますがね。 かくの如くすれば好物は貪ぼり次第貪り候も毫も内臓の諸機関に障害を生ぜず、一挙両得とは此等の事を可申かと愚考致候…… 　寒月は例のごとく欠けた歯を出して笑いながらそれは残念でしたなと云う。 ほんにねえは到底吾輩のうちなどで聞かれる言葉ではない。 彼は強い。 御前も回向をしておやりなさい 御めっちの知った事じゃねえ。 うん、ちょっとうまい文章だと思ったから今翻訳して見ようと思ってねと主人は重たそうに口を開く。 エヘヘヘ少し違った方角でと寒月君が笑う。