どっちでも好いから取っとくんなさいなと女の子を両手で持って唐茄子か何ぞのようにおやじの鼻の先へ出すと、おやじはぽんぽんと頭を叩いて見て、ははあかなりな音だと云った。 しかし奥さんだって舐めそうな顔をしていなさるばい 儒家にも静坐の工夫と云うのがあるそうだ。 しかしそれも薄々は知ってますホホホホ面白い事ばかり……と細君相形を崩して笑っていると、格子戸のベルが相変らず着けた時と同じような音を出して鳴る。 それでも先生より貯蓄があります それで虚子が花道を行き切っていよいよ本舞台に懸った時、ふと句案の眼をあげて前面を見ると、大きな柳があって、柳の影で白い女が湯を浴びている、はっと思って上を見ると長い柳の枝に烏が一羽とまって女の行水を見下ろしている。 山の芋ってなあに？と姉がきくと妹が今度もまた真似をして山の芋ってなあに？と三平君に尋ねる。 惜し気もなく散る彼岸桜を誘うて、颯と吹き込む風に驚ろいて眼を覚ますと、朧月さえいつの間に差してか、竈の影は斜めに揚板の上にかかる。 それでも根気よくやっていると大豆ほどになります。 　ところへ寒月君が、どう云う了見かこの暑いのに御苦労にも冬帽を被って両足を埃だらけにしてやってくる。 　こう暑くては猫といえどもやり切れない。 坊主とか自称するものはいつ見ても頭を青くしている。 独逸で大和魂の芝居をする 　吾輩の眼前に悠然とあらわれた陰士の顔を見るとその顔が――平常神の製作についてその出来栄をあるいは無能の結果ではあるまいかと疑っていたのに、それを一時に打ち消すに足るほどな特徴を有していたからである。