狡猾になるのも卑劣になるのも表裏二枚合せの護身服を着けるのも皆事を知るの結果であって、事を知るのは年を取るの罪である。 感心だなあ。 なるほど寒いはずである。 うちへなんぞ来ちゃ大変威張っても鈴木さんなどの前へ出ると小さくなってるんでしょう こちらからも出る。 根が俳句趣味からくるのだから、あまり長たらしくって、毒悪なのはよくないと思って一幕物にしておいたなるほどまず道具立てから話すが、これも極簡単なのがいい。 なぜ湧いた？――なぜと云う質問が出れば、今一応考え直して見なければならん。 細君は無論実業家になって貰いたいのである。 虚子先生が女に惚れる烏かなと烏を捕えて女に惚れさしたところが大に積極的だろうと思いますこりゃ新説だね。 考えれば分ると思っているらしい。 自分で勝手な用事を手に負えぬほど製造して苦しい苦しいと云うのは自分で火をかんかん起して暑い暑いと云うようなものだ。 悪くいと云う念を通り過すと張り合が抜けてぼーとする。 　今夜も何か有るだろうと覗いて見ると、赤い薄い本が主人の口髯の先につかえるくらいな地位に半分開かれて転がっている。 大和魂！　と掏摸が云う。