ET30 ディサローノ アマレット
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ディサローノ アマレット 4
七時半でしたろう
主人は少し真面目になって君そう毎日毎日珠ばかり磨ってるのもよかろうが、元来いつ頃出来上るつもりかねと聞く。
寝過ごしはせぬかと二三度耳を振って家内の容子を窺うと、しんとして昨夜のごとく柱時計の音のみ聞える。
――しかし明治三十八年の今日こんな馬鹿な真似をして女の子を売ってあるくものもなし、眼を放して後ろへ担いだ方は険呑だなどと云う事も聞かないようだ。
富子嬢に捧ぐ
暑いとその上へ日傘をかぶる。
大和魂! と掏摸が云う。
どこで鼠と戦争するかと云えば無論鼠の出る所でなければならぬ。
それにしても三方から攻撃される懸念がある。
しかし東風君この捧げ方は少しまずかったね。
そこで老梅君食ったそうだ。
ええ。
よか天気でござりますと唐津訛りか何かで細君の前にズボンのまま立て膝をつく。
細君は――細君は何をしているか知らない。