然し御存じの如く小生は一度思い立ち候事は成功するまでは決して中絶仕らざる性質に候えば嘔吐方を再興致し候も遠からぬうちと信じ居り候次第。 不相変元気がいいねと尻尾を立てて左へくるりと廻わす。 何か大著述でもして家名を揚げなくてはならん。 君等にも弁解するが僕の英語は決して悪意で使った訳じゃない。 それで面白い趣向があるから是非いっしょに来いとおっしゃるのでと客は落ちついて云う。 吾輩ははあと返事をした。 　おりから門の格子がチリン、チリン、チリリリリンと鳴る。 猫などはそこへ行くと単純なものだ。 ええと答えて東風子は主人の顔色を窺う。 　ところへ下女がまた第三の端書を持ってくる。 　うそをつけと主人は打ち遣ったようにいう。 東風の御宮は面白かろう。 二人は女で私がその中へまじりましたが、自分でも善く弾けたと思いましたふん、そしてその女というのは何者かねと主人は羨ましそうに問いかける。 餅の切れは小さいが、何でも六切か七切食って、最後の一切れを椀の中へ残して、もうよそうと箸を置いた。