左もなくば切角の大国民も近き将来に於て悉く大兄の如く胃病患者と相成る事と窃かに心痛罷りあり候…… しかし自分が胃病で苦しんでいる際だから、何とかかんとか弁解をして自己の面目を保とうと思った者と見えて、君の説は面白いが、あのカーライルは胃弱だったぜとあたかもカーライルが胃弱だから自分の胃弱も名誉であると云ったような、見当違いの挨拶をした。 吾輩はぼたりと畳の上へ落ちる。 要するに振り損の、立て損の、寝かし損であると気が付いたからやめにした。 年に二三返はきっとぶら下がっている。 あれは嫌だ、これは嫌だと云うのは贅沢な我儘で到底教師の家にいる猫などの口にすべきところでない。 いつになく富士見町の方へは足が向かないで土手三番町の方へ我れ知らず出てしまった。 マーカスは好い名じゃないか。 よく人が首を縊ると云うがこんな時にふと誘われて死ぬ気になるのじゃないかと思い出す。 吾輩は椀の中を覗き込みながら、早く誰か来てくれればいいと念じた。 すると小さいのが姉のした通り同分量の砂糖を同方法で自分の皿の上にあけた。 実に不思議な事があるものじゃないか迷亭はすまし返っている。 ○○子の声がまた苦しそうに、訴えるように、救を求めるように私の耳を刺し通したので、今度は今直に行きますと答えて欄干から半身を出して黒い水を眺めました。 御承知の通り孔雀一羽につき、舌肉の分量は小指の半ばにも足らぬ程故健啖なる大兄の胃嚢を充たす為には……