考えて見ると今朝雑煮をあんなにたくさん食ったのも昨夜寒月君と正宗をひっくり返した影響かも知れない。 御三が吾輩を知らずして虐待をするのは別に腹も立たない。 いくら教師の飯を食ったって、そんな高慢ちきな面らあするねえ。 御苦労だった。 それから二人で表へ出ると、どうだ君うまく行ったろう、橡面坊を種に使ったところが面白かろうと大得意なんです。 細君は恨めしい顔付をして、到底いらっしゃれませんかと聞く。 四時十五分前である。 ところが誰も来ない、いくら躇していても誰も来ない。 小供の唱歌もやんだようだ、きっと台所へ馳け出して来るに相違ない。 まず桃川如燕以後の猫か、グレーの金魚を偸んだ猫くらいの資格は充分あると思う。 食って見ると妙なもので、大抵のものは食える。 世の中は自由にならん者でのう。 吾輩は今朝の雑煮事件をちょっと思い出す。 そのうちとうとう晩飯になったから、母へ返事でも書こうと思ってちょいと十二三行かいた。