布団が手持無沙汰に控えているにもかかわらず敷かない。 昔し西洋で犯罪者を所刑にする時に、本人が国境外に逃亡して、捕えられん時は、偶像をつくって人間の代りに火あぶりにしたと云うが、彼等のうちにも西洋の故事に通暁する軍師があると見えて、うまい計略を授けたものである。 仕方がないから君は眠くなかろうけれども、僕の方は大変眠いのだから、どうか寝てくれたまえと頼むようにして寝かしたまではよかったが――その晩鼠が出て独仙君の鼻のあたまを噛ってね。 どうも驚ろいた 先生、僕のおやじさんは大変やかましい人で、それにお母さんが継母ですから、もし退校にでもなろうもんなら、僕あ困っちまうです。 この鏡ととくに云うのは主人のうちにはこれよりほかに鏡はないからである。 　泥棒はこの時よほどおかしかったと見えて、下を向いて着物の襟へあごを入れた。 　坊ばは隣りから分捕った偉大なる茶碗と、長大なる箸を専有して、しきりに暴威を擅にしている。 吾輩はこれで読心術を心得ている。 愛がなければ夫婦の関係は成立しやしないわ どうしてそんな無茶な事が出来たものだろう このくらい公然と矛盾をして平気でいられれば愛嬌になる。 逆か立ちではそう長く続く気遣はない。 海鼠を食えるものは親鸞の再来にして、河豚を喫せるものは日蓮の分身なり。