御前の学校じゃ論理学を教えないのか そうしてふくれた頬っぺたを平手で二三度叩いて見る。 しかし脈には変りはないようだ。 大学の講義でもわからん事を喋舌る人は評判がよくってわかる事を説明する者は人望がないのでもよく知れる。 ただし迷亭に至っては実際知らなかったのか、知って知らん顔をしたのか、そこは少々疑問である。 珍らしいのね しかし刑事を尊敬するのは、まだしもだが、泥棒を尊敬するに至っては、驚かざるを得んよ 十一 手が出せないので、門をしめる事が出来ないから開け放しのまま行ってしまった。 まだお起きにならないのですかと声をかけたまま、しばらく立って、首の出ない夜具を見つめていた。 云わばごまかし性表情で、実を云うと大分骨が折れる芸術である。 虎蔵君と並んで立っているのは二十五六の背の高い、いなせな唐桟ずくめの男である。 これは方法がわるかった。 　吾輩がこの際武右衛門君と、主人と、細君及雪江嬢を面白がるのは、単に外部の事件が鉢合せをして、その鉢合せが波動を乙なところに伝えるからではない。