しかしあの時分より大分えらくなったようだよ いや、そんなはずはない。 御金を貰ってね。 滄桑の変とは申しながら、御入国以来三百年も、あの通り将軍家の……と云いかけると迷亭先生面倒だと心得て 生長するどころではない、その生長の速かなる事は禅寺の筍が若竹に変化する勢で大きくなる。 まだお起きにならないのですかと声をかけたまま、しばらく立って、首の出ない夜具を見つめていた。 業尽きて何物をか遺す。 功徳になりますよ。 ええまるで叔父さんよ、しまいに利口な人も愛想をつかしてやめてしまったんですとさ。 古井？　古井何とかだね。 　吾輩はこの光景を横に見て、茶の間から主人の寝室まで来てもう起きたかとひそかに様子をうかがって見ると、主人の頭がどこにも見えない。 たのもしい男だ。 非凡は気狂の異名であるから、まずこれも同類にしておいて構わない。 もっとも理論上から云うと、巡査なぞは自分達が金を出して番人に雇っておくのだくらいの事は心得ているのだが、実際に臨むといやにへえへえする。