君がそれを留める権利はないなるほど権利は正にない。 しかし談話の模様から鼻息の荒いところなどを綜合して考えて見ると、満更人の注意を惹かぬ獅鼻とも思われない。 ――おや、細君の事を話しておくはずだった。 何でも大根卸の中にはジヤスターゼが有るとか云う話しを新聞で読んでからですなるほどそれでジャムの損害を償おうと云う趣向ですな。 とにかく寒月の博士になるのは結構である。 しかしながら煙は固より一所に停まるものではない、その性質として上へ上へと立ち登るのだから主人の眼もこの煙りの髪毛と縺れ合う奇観を落ちなく見ようとすれば、是非共眼を動かさなければならない。 大変な見識だな。 ――苦沙弥先生はこれでも自分を君子と思っている。 この時のみは非常に丁寧な撫で方であった。 標札はあるときと、ないときとありますよ。 陣笠に立葵の紋の付いたぶっ割き羽織でも着なくっちゃ納まりの付かない紐だ。 主人はあまりの突然にぼんやりして無言のまま迷亭を見ている。 金田君はなお語をついで、あいつは英語の教師かいと聞く。 あの時の君の言草をまだ覚えているが君は知ってるか