RM40 聖リミュエール女学園~夢見るフェアリーズ~ [DVD]
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聖リミュエール女学園~夢見るフェアリーズ~ [DVD] 7
どうも驚きますな。
隣の室で妻君がくすくす笑い出す。
主人を活かすのも殺すのも鈴木君の意のままである。
骨は出来ても鼻汁は出ますな。
そうして新しい半襟を掛けたじゃないかへえ、せんだって御嬢様からいただきましたので、結構過ぎて勿体ないと思って行李の中へしまっておきましたが、今までのがあまり汚れましたからかけ易えましたいつ、そんなものを上げた事があるのこの御正月、白木屋へいらっしゃいまして、御求め遊ばしたので――鶯茶へ相撲の番附を染め出したのでございます。
無論当家の猫のごとく劣等ではない。
何だか分らんと主人が答える。
例の通り静かな調子でどうか私に、あの娘を貰ってくれと云う依頼なんでしょうと、また紫の紐をひねくる。
忍び込む度が重なるにつけ、探偵をする気はないが自然金田君一家の事情が見たくもない吾輩の眼に映じて覚えたくもない吾輩の脳裏に印象を留むるに至るのはやむを得ない。
江戸っ子が泉岳寺を知らないのは情けない知らなくても教師は務まるからなと主人はいよいよ天然居士になる。
鼻子は学問上の質問は手に合わんと断念したものと見えて、今度は話題を転ずる。
そんなにジャムを甞めるんですかまるで小供のようですねジャムばかりじゃないんで、この頃は胃病の薬だとか云って大根卸しを無暗に甞めますので……驚ろいたなと迷亭は感嘆する。
一本ですむところを二本引き三本引き、奇麗な併行線を描く、線がほかの行まで食み出しても構わず引いている。
天然居士と云うなあやはり偶然童子のような戒名かねと迷亭は不相変出鱈目を云う。